今日からは完了形の文についてふれていきます。
そして今回のDay35はその中の「現在完了」についてです。
現在完了とはどういうことなのかなど、詳しく書いていきます。
|
|
「現在完了」の文と聞いてもいったいどういう文なのかわからないかもしれません。
現在完了の文の形を簡単に説明すると<主語+have(has)+過去分詞>になります。
たとえば次のような文を現在完了の文といいます。
I have finished homework.
(私は宿題を終えました)
このように have(has) をおいてから過去分詞をおきます。
主語が he や she, it ならば have ではなくて「has」を代わりにおきます。
動詞は過去形と過去分詞に変化しますが、過去形ではなくて過去分詞を完了形の文では使うことに注意してください。
ところで、この現在完了の文はいったいどういう場面で使われるのでしょうか?
I have finished homework.
この文の意味は「私は宿題を終えました」でした。
その意味自体は「過去形」の文に似ています。
けれども現在完了と過去形ではその意味が似ているように見えても、その意味に含まれているものには大きな違いがあります。
現在完了は過去形のようでそれとはまた違い、「過去の出来事が現在と結びついている」ものと考えることができます。
そして現在完了は「動作の完了」・「動作の結果」・「経験」・「継続」をあらわすときに使いますと説明することができます。
ですが、ただこれらの場合に使うことができると言ってもわかりずらいと思いますので、次からはそれぞれについて詳しく書いていきます。
そして最終的には現在完了について理解をしてもらいたいと思います。
現在完了は実際は会話でもよく使われるものです。
ただ、現在完了の意味については理解しにくいところもあるため、なかなか使いづらい場合もあります。
なぜ使いづらいのかといえば、実は日本語には「現在完了の状況」をはっきりとあらわす言葉がない場合があるからです。
それでも現在完了を理解することで、会話をするのにもおもしろさが出てくると思われますし、また表現の幅をふくらませることもできると思います。
|
|
現在完了が使われる状況の1つに「動作の完了」をあらわす場合があります。
「完了」というからにはその文の意味は「今〜を終えました」といったことをあらわします。
(つまり「今〜を終えました」は「動作の完了」をあらわします)
たとえば次の文を見てください。
I have finished lunch.
(私は昼食を終えました)
この文は「昼食を終えた」ということをあらわしますが、話し手が話した時点で「昼食を終えた」ということを意味します。
つまり、「今、昼食を終えた」ということをあらわします。
そしてこの「今」というのが、この場合の現在完了の重要な意味になります。
では、この文を過去形で書いてみるとどのようになるでしょうか?
I finished lunch.
(私は昼食を終えました)
この文は普通の過去形の文です。
意味的には現在完了とあまり変わらないようにみえます。
ですが、この過去形の文ではその意味に「今」という意味が含まれていません。
つまりこのままだと昼食を終えたのがいつなのかが不明です。
そして普通は過去形の文を「今」ではなく、「もっと前のできごとである」と意味を解釈します。
たとえば次のようになります。
I finished lunch 2 hours ago.
(私は2時間前に昼食を終えました)
過去形にはこうして「何時間前」のようにできごとの「時点」をおくことも1つの特徴です。
そしてここで注意してほしいのは、現在完了のような完了形の文には過去形の文のように「ある決まった過去の時点」を文の中におくことができないということです。
これは大切なことですから、ぜひ覚えておいてください。
○ I finished lunch 2 hours ago.
× I have finished lunch 2 hours ago.
またこの場合の現在完了形の文では「ちょうど」という意味をあらわすのに、「just」が使われる場合もあります。
I have just finished lunch.
(私は昼食をたった今終えました)
さて、この現在完了の時間的意味ですが、そのことについて下に書いてみます。
また、それに対して過去形の文についても比較をするために時間的意味を下に書いてみます。
just と just now
just は現在完了と一緒に使うことができるとは前にも書きました。
では、「just now」はどうでしょうか?
使えると思いますか?
実は just now は現在完了で使うことができません。
なぜなら just now は「ついさっき」というように少し前の過去の時点を意味するからです。
したがって、はっきりとした過去の時点をあらわすものと一緒に使えない現在完了では just now を使うことができません。
では「before」はどうでしょうか?
before も「前に」というように過去のことをあらわしますが、現在完了と一緒に使えると思いますか?
答えは、「使えます」です。
それは before は確かに過去のことをあらわしますが、その過去の時点が「前に」というだけで漠然としてる時点なので現在完了と一緒に使うことができます。
|
ここでもう1つ次の例文を見てください。
I have eaten breakfast this morning.
(私は今朝、朝食を食べました)
[eat(現)- ate(過)- eaten(過分)]
さて、話し手はいつこの文を話しているでしょうか?
「this morning」に注目して考えて見てください。
this morning は「今朝」と訳しましたが、時間的には「午前中」を意味します。
だいたい、夜明けから午前中か昼食までを this morning の範囲と考えることができます。
ということは、もしもこの話し手が午後や夕方に上の文を話したとしたら、おそらく次のように話すと思います。
I ate breakfast this morning.
(私は今朝、朝食を食べました)
このように普通の過去形の文で話すことになるでしょう。
さて、問題は話し手がいつ話したかということですが、それは this morning の範囲の時間帯だと思われます。
その時間帯は「夜明けから午前中」ですから、話し手はその間に朝食を終えてそして終えたことを話したことになります。
上の図では、話し手が話している時点と朝食を食べ終えた時点とは必ずしも一致していません。
けれども、this morning の範囲内において話し手が朝食を食べたということで現在完了であらわすことができます。
前は「ちょうど今」という意味で現在完了を使いましたが、それとは少し違ってこのような現在完了の使い方もあります。
これは this morning の範囲内の時間帯をある過去からずっと続いている現在と考えることができます。
もちろん、this morning ではなくてたとえば「today」を使うとその日一日は現在完了の範囲になります。
Have you seen the teacher today ?
(今日は先生に会いましたか)
Yes, I have.
(はい、会いましたよ)
|
|
現在の結果とは「〜へ行ってしまった」や「〜してしまった」のような意味をあらわす現在完了のことをいいます。
He has gone to Italy. は、「彼はイタリアへ行ってしまいました」という意味です。
gone は動詞 go の過去分詞です。
go は次のように変化します。
go(現在形)- went(過去形)- gone(過去分詞)
ところで上の現在完了を普通の過去形の文と比較すると、その意味にはどのような違いがあるでしょうか?
He went to Italy.
(彼はイタリアへ行きました)
この文は普通の過去形の文です。
この He went to Italy. は過去のことをはっきりと意識した文になります。
そこで意味を考えると、彼は確かにイタリアには行きましたが「過去」のことなので、今でもイタリアにいるのかどうかわかりません。
つまり今は、もしかしたら他の国に行っているかもしれませんし、または帰国しているかもしれません。
それに対して現在完了の He has gone to Italy. は「彼はもう行ってしまった」という意味をあらわしますので、彼は今はもうここにはいないことになります。
もう1つ例文を書いてみます。
I have lost my wallet.
(私は財布を落としてしまいました)
この場合、落とした財布はまだ見つかっていないことを意味しています。
また I have はよく「I've」と短縮されます。
他にも
you have → you've
he has → he's
she has → she's
のようになります。
★<have(has) been to 〜>
have(has) been to は「〜へ行ってきたところです」という意味をあらわします。
もしも郵便局へ小包を出しに行くのに、
She has gone to the post office.
(彼女は郵便局に行ってしまった)
では、不自然な意味の文になっていまいます。
そこでこういうときなどには<have(has) been to>を使います。
She has been to the post office.
(彼女は郵便局に行って来ました)
また have(has) been to は「〜へ行ったことがあります」のように「経験」をあらわす場合もありますが、そのことについては次回に詳しくふれていこうと思います。
会話で使われる1つの例
現在完了は会話でもよく使われます。
会話で使われる場合の1つの例として、話を切り出すときに現在完了を使う場合があります。
たとえば次の文を見てください。
@ Where have you been ?
(あなたはどこに行ってきましたか)
A I have been to the restaurant.
(私はレストランに行って来ました)
B What did you eat ?
(何を食べましたか)
C I ate spaghetti.
(私はスパゲッティを食べました)
D How was it ?
(それはどうでしたか)
@は現在完了の文です。
この場合の話し手はある時点から現在まで続いた時間の中で漠然とした過去のことを意識して話を切りだしています。
したがって話を切り出すときには、このように現在完了を使う場合があります。
そしてBやCでは過去形にして話していますが、これは最初の漠然とした意味をあらわす現在完了の後、お互いに話題がはっきりとした過去のことであると意識してから話しを続けるためです。
このように最初に現在完了で切り出すような会話のしかたはよくあることでもあります。
|
|
|