1章 法助動詞の主な用法
1つの法助動詞には複数の意味がある。それらは他の法助動詞と重複することも多い。たとえばcanやmayなどが「許可」と「可能性」の意味で相関する。しかし、双方の法助動詞には客観性と主観性というように話し手の心境を表す違いがある。
また、たとえ主観性を持った法助動詞でも、それが持つ意味には主観的意味または客観的意味がある。つまり、個々の法助動詞間には主観性と客観性という意味対立があり、さらに法助動詞が持つ意味間にも同様の対立があることになる。(法助動詞やその意味につけ加えている「主観」と「客観」については、0.2.認識的用法と根源的用法を参照。
また、ここで述べる「普通の過去時制」とは、仮定法や間接話法などで用いる過去時制ではなく、単独で用いる、いわば直説用法の過去時制のことである。)
1. can(客観性)
canの主な意味は次の3つである。
(1)
a. 能力(客観的意味)
b. 許可(客観的意味)
c. 可能性(客観性-主観的意味)
また、canの過去時制はcouldである。異なるのは「継続的」、「習慣的」意味を表す場合、または「否定文」において用いられることである。
たとえばcouldの「能力」は、特定の時点で行った実際の動作を表すことができないが、それが一度限りの動作ではなく、習慣的な意味を表す場合は用いることができる。
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