幼稚園の実習は班によって時間や内容が違ってきますが、ここではC班を例にとっていきます。
幼稚園の実習時間は40分です。
対象は年長組です。
時間は40分ですが、やはり小学校と同じように3つのパートにわけて1名ずつ3名で担当して実習をします。
3つのパートも小学校と同じで、「導入」、「メイン」、「応用」があります。
導入は前回の復習などで、メインはその日のテーマを詳しく指導し、応用ではメインをひろげて指導します。
実習の担当も日替わりです。
たとえば1回目の実習で実際に実習をすると次回の実習ではオブザーバーになって見学や手助けをします。
グループや班などの構成、時間の配分について詳しく知りたい方はこちらをクリックしてご覧ください。
(「講座で行う実習って?」から「-1.実習をする場合の班構成-」)
小学校の実習は全4回ですが、4回のテーマは次のようになっています。
第1日目 数の数え方について
第2日目 色の名前について
第3日目 フルーツの名前について
第4日目 動物の名前と鳴き声について
この4回のテーマも小学校と同様、班単位の事前の打ち合わせの中で決めたものですので、班によってはテーマが違ってきます。
幼稚園の場合は小学校と違って、英語活動の中に歌や動作をともなったことが多くなります。
1つ1つのことに様々な予想外の反応があるのも幼稚園児の特徴ですが、そのかわり飽きやすいというところもありそこは難しいところです。
また、幼稚園での実習日程は次のようになっています。
・8月23日
・8月30日
・9月 6日
・9月13日
ここからは実際の実習の内容についてふれていきます。
第1日目 数の数え方について
①導入
幼稚園の初日は実習生全員の自己紹介から始まりました。
「Hello.」のあいさつと「My name is …」の自己紹介と最後に「Nice to meet you.」です。
それから「Hello Song」を練習させるために「Hello.」を4回ずつ園児に発音させる練習をしました。
今回使用した「Hello Song」は、「Hello.」を連続4回言うことを基本とした歌です。
短くて簡単な歌なのであまり練習がなくてもすぐ歌うことができます。
何回かアカペラで「Hello Song」を歌って練習してから今度はCDを流して一緒に歌いました。
次ももう1つ歌です。
けれども今度は動作を加えた歌で「Head shoulders, knees and toes」です。
これはただ歌うだけじゃなくてその歌にあわせて動作を加えていきます。
Head なら頭に手をあてますし、shoulders なら肩に手をあてていきます。
始めはCDを流さないで練習をしました。
「Touch a head.」と言って頭に手をあてて「Head」が頭であることを覚えさせます。
Shoulders も knees も同じように教えていきます。
ゆっくりと繰り返したらスピードを速めていきます。
園児が慣れてきたと思ったら今度はCDに合わせて2回ほどやりました。
②メイン
1~10まで英語で言えるようにすることと、英語でものを数えられるようにすることを学習させました。
まずは1~10まで「1」なら「ワン」、「2」なら「トゥー」というように数字と英語を一致させることをやります。
それには1~10まで1つずつ数字をカードにしたものを使いました。
それは下のようなものです。
これをつかって最初は1~10まで順番に発音をしながら、園児にも同時にリピートさせていきました。
リピートさせたら1~10までのカードを黒板に横に貼っていってまた同じように練習しました。
それから今度は数の数え方を教えます。
それにはリンゴのカードを使いました。
リンゴのカードを1枚貼って、「これはいくつ?」というように聞いていきます。
答えることができたら、もう1枚貼って「じゃあ、これは?」というようにリンゴのカードを増やしながら園児に聞いていきます。
上手くできたら、一度1から順番にリンゴのカードを指でさしながら数えていきます。
貼るカードも2枚同時に貼ったり、3枚同時に貼ったりします。
最終的には全部で10枚までリンゴのカードを黒板に貼りました。
そしてみんなで数を確認するために1~10まで順番にいいながら練習をしました。
園児が英語で数えることに慣れてきたら、今度は動物の絵が描かれている画用紙を使って動物が何匹いるかを数えるという練習をしました。
画用紙には犬やねずみ、ライオンなどが何匹か描かれています。
数は動物によって違います。
この画用紙を黒板に貼ってから、たとえば「ねずみは何匹いますか?」というように聞いていきます。
園児が答えたら、それを確認するのと数の練習のために画用紙のねずみを1匹ずつ指で指しながら順番に1から数えていきます。
画用紙に描かれた動物は色々ありますが、やはり10まで数えられるように作ってあります。
このようにして数を英語で言えることと、それから数えられることに慣れさせていく指導をしました。
園児でも1~10までは英語で言える子が結構いるので、「1」を「ワン」というように数と英語の一致は思ったよりもすぐにできました。
③応用
まずは指を使って1から7まで順番に数える練習をします。
これはこの後で歌って練習する「Seven Steps」のためです。
この歌も動作を伴います。
1から7まで指で数えてから、手をたたいたりひざをたたいたりしてからまた1から7まで数えることを繰り返します。
指で1から7まで数える練習をしたら、音楽なしで一通りやってみます。
そして園児が慣れたら今度はCDをかけて音楽にあわせて「Seven Steps」をやりました。
一度CDに合わせてやったら、次は教室の園児全員でいくつかのサークルを作ります。
そしてまたCDをかけてサークル単位であわせてやります。
それができたら、次は1つの大きなサークルを作ります。
そして今度はその1つのサークルでCDにあわせてやります。
けれどもこのときは指で1から7まで数えるのではなく、となりの人と手をたたき合いながら1から7まで数えることをやりました。
最後は「Good-by Song」です。
これはグッバイをゆっくり繰り返すだけの簡単な歌で特別練習がいるものではありません。
グッバイ、グッバイと歌いながら手をたたくだけです。
あとは合間に「to you」や「See you next time.」が入る程度です。
一度手本を見せてから、園児と一緒に歌って最初の実習を終えました。
第2日目 色の名前について
①導入
アルファベットをかたどったものを一枚一枚とって園児に見せながら、ABCの歌をゆっくりと歌っていきます。
これを何回か繰り返します。
それから「A」、「B」、「C」が書かれた3種類の丸いカードを床にばらまいて園児に拾ってもらうというゲームをやりました。
最初は「A」と指定して園児みんなに一斉に「A」の書かれたカードを拾ってもらいます。
次は「B」ですが、ここからは列の前の子だけで取ってきてもらいます。
(教室は床にカーペットだけでイスや机はありません)
何列かになっているので、それぞれの列で前の人だけが合図で「B」を探して取ってきてもらいます。
取った子はその列の後ろに戻り、また次の前の子が「B」を探して取ります。
「B」が全部なくなると(カードはA・B・Cとも人数分あります)、次は「C」です。
そこにはもう「C」しかありませんが同じようにやってもらいます。
それでも園児は夢中で「C」を探して取ってきていました。
そして、全部取り終わった後で何枚持っているかみんなで数えました。
もちろんみんな3枚ですが、英語で1,2,3と数えました。
②メイン
今日のテーマは色です。
最初は、画用紙にクレヨンや動物が描かれたものを使います。
それは下のようなもので、それぞれ1色だけで塗られています。
そして一枚ずつ取り出して園児に見せてから色の名前を発音し、それから園児にリピートをしてもらいます。
リピートをしたら後ろに貼っていきます。
一通り園児に発音をさせたら、今度は色を探してもらうというゲームをやりました。
そのゲームは後ろに貼ったものから1つを選んで指で指してから、合図で一斉に園児に教室にあるもののなかから同じ色のものを探してもらうというものです。
同じ色を探すことができたらその色をつかんでもらいます。
何種類かの色を指定して合図で探してもらいましたが、園児はみんな夢中で教室中を走り回りながら色を探していました。
そして探すことができたら、近くの先生に「これー」とかいいながら教えていました。
③応用
応用は色の名前をもっとしっかり覚えてもらうために、釣りのゲームをやりました。
これは1色だけの色紙で魚をかたどったものを、指示をした色の名前に従って釣ってもらうというゲームです。
魚には口のところにクリップが付けられています。
竿は割り箸で、割り箸の先には白い糸がつけられ、その糸の先には小さな磁石がついています。
色は赤、ピンク、青、緑、オレンジ、黒などがあります。
それぞれの色はすべて園児の数だけそろっていますので、指定した色が足りなくなるということはありません。
またゲームをやるときは、5人くらいのグループにわかれてもらってからやりました。
グループで円になったら、その真ん中に魚をおきます。
そして割り箸の竿を持った園児が合図とともに一斉に指定された色の魚を釣り始めました。
ここでも園児はとても夢中になりました。
ゲームが終わると、残った魚は自由に園児がもらってもいいことになりましたが、ある色を取りすぎた子に向かって他の子が「その色がほしかった」と言ったら、「じゃああげるよ」というようなこともありました。
「黒がほしかった」と言われた子が黒を1枚しか持っていなかったから、「俺もほしかったんだ」と言ったので、もう1人他の子が「じゃあ、青をあげるから」となげて渡したこともありました。
最初に黒をほしいと言った子はすでに青を何枚か持っていましたが、もらっておさまりました。
第3日目 フルーツの名前について
①導入
前回は色の名前をテーマにやりましたが、今回の導入ではその復習をしました。
まずは前回のメインのところで使ったクレヨンと動物の絵が描かれている画用紙を使います。
これで一枚ずつ色の名前を発音しながら園児にも同じようにリピートをさせていきます。
そして一通り色の名前を発音させて復習をしました。
それから色の名前をもっと確実にするために下のような絵を使いました。
海の絵ですが、これを使って色を聞いていきました。
最初は「海の色は?」というように。
その次に色々な動物を登場させて色を聞いていきます。
たとえばカモメを登場させてから、「カモメの色は?」や「くちばしの色は?」というように園児に聞いていきます。
カモメの他にはかめやかになども登場させていきました。
そしてそれぞれについて色を園児に聞いていきます。
動物を使うと園児もなかなかのってきてくれました。
けれども最初の画用紙を使った色の名前の復習からここまでやるのにたいして時間はかかっていませんから、もう少し繰り返して色を教えるために海の中の絵も用意しました。
それは次のような絵です。
今度は園児に「この色は?」というように色の名前を答えさせるのではなくて、「Red はどれ?」というように園児に色を探してもらうやり方に変えました。
「Red は?」と聞きながらわざと違う色の魚とかを指さしながら聞いていきます。
うまく園児が答えられたら、答えた動物を取ったり横にずらしたりします。
(貼ってある動物はみんな取れるようになっています)
②メイン
いくつかのフルーツのおもちゃを用意してから、ひとつずつそれを見せて英語で名前を発音します。
それから園児にも繰り返して発音してもらいました。
フルーツは、いちご、なし、オレンジ、バナナ、レモンなどです。
フルーツをかたどったおもちゃです。
用意したフルーツを一通り教えてから、今度は袋の中に入れてそこからちょっとずつ見せながらフルーツの名前をあてさせることもしました。
そして今度は園児の前にフルーツ全部をおきます。
フルーツは種類ごとにそれぞれ2個ずつ用意しています。
それから園児には2人で一組のペアを作ってもらいます。
ペアを作ったら教室の後ろのほうに集まってもらい、そこから一組ずつ出てきて指定したフルーツを探して取ってもらうというゲームをやりました。
たとえば「ストロベリー」と合図したら、ペアになった2人は同時にそこでストロベリーを探して取ってもらいます。
フルーツはどれも2個ずつあるので2人で1個ずつ探します。
探すことができたら、フルーツをもどして次のペアに移ります。
③応用
メインで使ったおもちゃのフルーツを使います。
実習生2名で、一方が相手の実習生に「I want apple.」といいます。
そうするとその実習生は「Here you are.」と渡します。
もらったら「Thank you.」と言って食べるまねをします。
これをいくつかのフルーツを使って繰り返しました。
繰り返した後で、今度は園児にも同じ事をさせます。
園児を1人、前のほうに連れてきてからその園児にフルーツを渡して、同じ事ができるようにそばで指導します。
特に会話で「Thank you.」を言わせて練習させるようにしました。
次にいくつかのサークルを作ってもらってから、そのサークルの中で好きなフルーツを1つ決めてもらいます。
決まったらそのサークルの中で同じような練習をしました。
こうしてフルーツについてある程度終えたら、最後に「Eency Weency Spider」を歌いました。
これは歌に合わせて指を細かく動かしていく指あそび歌です。
まずは園児に1つの大きなサークルを作ってもらってからアカペラで練習します。
それからCDを流してそれにあわせて歌います。
ただ、このときはCDの調子がよくなかったのでそのままCDなしで歌いました。
第4日目 動物の名前と鳴き声について
①導入
前回のテーマだった「フルーツの名前について」の復習をしました。
これにはぬいぐるみを使います。
このぬいぐるみは「ルーちゃん」と名付けられました。
実習生2名でそのうちの1人がぬいぐるみ役になります。
そしてどのフルーツが好きなのかを言ってフルーツを選ばせてからそのフルーツを食べるまねをします。
このときフルーツは袋から少しずつ出して園児にフルーツの名前をあてさせていきます。
ぬいぐるみの「ルーちゃん」は園児にうけがよかったです。
けれどもぬいぐるみを戻すときが大変でした。それは園児の視線がぬいぐるみにあるからです。
だからぬいぐるみを戻すときは隠しながら戻さなければなりませんでした。
実はぬいぐるみを操っているときもできるだけリアルにみせるように、使っている腕はもう一方のほうで隠さないとなりません。
②メイン
動物の名前と鳴き声を教えます。
動物は犬、猫、豚、ゴリラ、カンガルー、うさぎです。
イラストになったカードを使って、「これは何ですか?」のように園児に聞いていきます。
園児が答えることができたら、次に「何と鳴くか知っている?」というように鳴き声を聞いていきます。
日本語で言う動物の鳴き声と英語で言う動物の鳴き声は、動物によってだいぶ違ってきますが、動物のイラストを見せながら英語の鳴き声をまねて教えてあげました。
カンガルーは「ジャンプ」と言いながらジャンプをしてみせます。
ここでもう一度「ルーちゃん」が登場しました。
そして登場したルーちゃんと一緒に実習生がジャンプをまねます。
ゴリラやうさぎもまねて園児にみせます。
後で園児にもやってもらいました。
1つの大きなサークルを作ってもらってから、みんな一緒に左回りと右回りでカンガルーやうさぎをまねてジャンプしながら進みます。
園児は結構夢中になって動物をまねて歩いていました。
③応用
塗り絵をしました。
テーブルとイスを教室に準備します。
それから園児全員に1枚プリントを配ります。
プリントには何種類かの動物とフルーツが印刷してあります。
最初は印刷してある動物の名前を教えます。
それから色を指定してから塗ってもらいます。
たとえばうさぎだったら「pinkでrabbitを塗ってください」のように。
これは動物の名前と色の名前を英語で言えるようにする復習が入っています。
バナナもありましたが、そのバナナも「yellow」で塗ってくださいのように園児にいいます。
園児は一人一人自分のクレヨンセットを持っていますが、その中から指定された色を選ばせます。
園児はちゃんと枠に入るように塗れる子もいればそうでない子もいて様々でした。
時間も残り少なくなったところで、最後は「Hokey Pokey」を歌いました。
園児がみんな1つのサークルを作って、まずはアカペラで歌いながら踊ります。
「Hokey Pokey」も体全体を使って動作する歌です。
「頭」なら「head」、「手」なら「hand」のように動きながら覚えることができます。
アカペラで練習をしたら今度はCDに合わせてみんなで踊ります。
1度踊ったら時間になったので前にもやっている「good-by song」を歌って最後を締めました。
幼稚園の実習は今回が最後だったので、「最後だからね」という担任の先生の言葉で園児からもあいさつを受けました。
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