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法助動詞

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6.2. 必然性(主観的意味)
 mustの「必然性」は話し手による推測であり、「主観的」意味を持つ。その点ではmayの可能性に類似するが、異なるのは話し手が断定的な推測をしていることである。(*21)


*21  mustの必然性では、未来の出来事について言及することが少ない。mustは断定的推測を意味として持つが、未確定な未来については断定することができないのが普通だからである。


 (8)
a. He left the office an hour ago. He must be at the airport by now.
(彼は1時間前にオフィスを出たから。もう空港に着いているに違いない。)
b. If he says so, it must be true.
(彼がそういうのなら、それは本当に違いない。)

 (8a)を書き換えた場合は、次のように表すことができる。断定的推測のためにcertainが用いられる。

 (9)
He left the office an hour ago. It is certain that he is at the airport by now.

 これにmayを用いた場合は、次の(10a)のようになる。そして、それを書き換えた場合は、(10b)のようにもすることができる。
 mayではpossibleが用いられる。

(10)
a. He left the office an hour ago.  He may be at the airport by now.
(彼は1時間前にオフィスを出たから、もう空港に着いているかもしれない。)
b. He left the office an hour ago. It is possible that he is at the airport by now.

 mustとmayでは日本語訳に現れているような意味の違いがあるが、そこから書き換えた例においてもcertainとpossibleを用いる違いが生じる。


 ところで、この意味のmayは否定文でも用いることができるが、mustの場合、否定文では普通用いない。その場合、代わりにcan'tを用いて表すことになる。(*22) must notを用いた場合は、次のような意味の違いが生じる。


*22  アメリカ英語では、can'tではなくmustn'tも比較的用いられる傾向がある。この場合の意味はcan'tを用いた場合に相当する。


 (11)
a. It mustn't be true.
(それは本当ではないに違いない。)
b. It can't be true.
(それは本当であるはずがない。)

 2例の意味の相違は、法助動詞と本動詞を否定する相違から生じる。このことは2章の4.1.否定文でも述べる。


 以上がmustの必然性であるが、通常用いられる動詞は状態動詞である。動作動詞を用いた場合は、「義務」など客観的意味を表すのが普通である。
 動作動詞を続けて「必然性」を表す場合は、動詞を進行形にすることになる。

 (12)
He must be working hard.
(彼は一生懸命働いているに違いない。)





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