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法助動詞

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7.1. 義務(客観的意味)
 have toの「義務」は客観性を持つため、義務の原因となることは外からの要因となる。

 (2)
a. If they walk out, we'll have to walk tomorrow.
(もしもストライキを起こしたら、明日は歩かなければならない。)
b. He has to prepare the plan before the meeting.
(彼は会議の前にその計画を準備しなければならない。)


 mustの義務と比較した場合は次のような意味の違いが生じる。

(3)
a. I must go his office.
(【レポートの提出が遅れたので】先生の研究室に行かなければならない。)
b. I have to go his office.
(【毎週会うことが決められているので】先生の研究室に行かなければならない。)



 ところで、have toは法助動詞に近い意味を持つが、疑問文や否定文では一般動詞として扱われるのが普通である。

 (4)
a. You don't have to call on him tomorrow. He will be out.
(明日はたずねなくてもいいよ。彼は外出しているから。)
b. Do we have to work next Sunday?
(次の日曜日は仕事をしなければなりませんか。)

 have toの否定文の意味はdo not need to doであるが、それに対してmustの否定文の意味はbe not allowed toである。このことを(4a)の始めの例を用いて比較すると次のようになる。

 (5)
a. You don't have to call on him tomorrow.
b. It is not necessary for you to call on him tomorrow.

 (6)
a. You must not call on him tomorrow.
b. It is necessary for you not to call on him tomorrow.

 (5)ではhave to、(6)ではmustの例をそれぞれ書き換えている。ここでnotが否定する領域をみると、have toでは助動詞を否定し、mustでは本動詞を否定しているのがわかる。そこでこれらの意味を比較すると、have toの(5)は「明日彼をたずねる必要はない。」となり、それに対してmustの(6)は「明日彼をたずねないことが必要(義務)である。」となる。
 このことは、客観的意味の場合に助動詞を否定し、主観的意味の場合に本動詞を否定するということにもなるのだが、このような否定の関係については2章の4.1.否定文でも述べている。


 またhave toに類似するhave got toは特に口語で用いられるが、「習慣」の意味では用いられない。したがって一度の動作について用いられることになる。
 ただし、have got toは肯定文で用いられることが多い。否定文と疑問文で用いられるのは、イギリス英語においてである。(*23)


*23  過去時制had got toは、アメリカ英語でもイギリス英語でもまれである。


 (7)
a. We have got to get up early tomorrow morning.
(明日の朝は早く起きなければなりません。)
b. Have we got to get up early tomorrow morning?
(明日の朝は早く起きなければなりませんか。)
c. We haven't got to get up early tomorrow morning.
(明日の朝は早く起きる必要がありません。)

 上のようにhave got toは否定文と疑問文でdoを用いない。
 アメリカ英語の場合、否定文と疑問ではhave toを用いることになるが、次は上と比較した例である。

 (8)
a. Do we have to get up early tomorrow morning?
b. We don't have to get up early tomorrow morning.

 この「義務」の意味について、過去時制としてのhad toを用いた例は、次節の「必然性」の意味とあわせて述べている。





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