|
分詞構文(participial construction)の意味上の主語が、主節の主語と異なる場合に、その主語を表さなければならない。そのような分詞構文を、独立分詞構文(absolute participial construction)という。しかし、時折その主語が表されない場合がある。そのような分詞構文を、懸垂分詞(dangling participle)、またはぶらさがり分詞という。ここでは、この懸垂分詞について説明する。
(1)
Arriving at the station, he found his train gone.
(駅についたとき、彼の列車は出発していた。)
(2)
a. The sun having set, it grew cold.
(太陽が沈んでしまうと、寒くなった。)
b. We're going to the beach this weekend, weather permitting.
(天候が許せば、私たちは今週末浜辺へ行きます。)
(1)は分詞構文で、意味上の主語は主節と同じである。
(2)は独立分詞構文である。意味上の主語は主節と異なるために、分詞の前にその主語が置かれている。2例を書き換えると次のようになる。
(3)
a. When the sun had set, it grew cold.
b. We're going to the beach this weekend, if weather permits.
ところが、上のように意味上の主語が異なっても、その主語を表さない場合がある。次はその例である。
(4)
a. Driving to Chicago that night, a sudden thought struck me.
(ゆうべシカゴへ車を走らせているとき、ふとある考えが浮かんだ。)
b. Walking down the boardwalk, a tall building came into view.
(遊歩道を歩いていると、高いビルが見えてきた。) (Quirk et al : 1985)
このような分詞構文を、懸垂分詞という。文法的に誤りとされることが多いが、実際に、文学作品に見られるものである。しかし、その意味上の主語は、文脈の中で表されていることが多いともいう。
英語話者でなければ、用いるのは避けた方が無難である。
メモ
roughly speaking「おおざっぱに言えば」、judging from「~から判断すると」、strictly speaking「厳密に言えば」なども、独立分詞構文である。
(5)
Judging from the look of the sky, it's going to rain.
(空模様からすると、雨になりそうだ。)
意味上の主語が異なるにも関わらず、それが表されないのは、懸垂分詞に相当することになるが、これらは慣用的表現としてよく用いられているものである。
このときの意味上の主語は、一般の人または話し手である。(5)は次のように表される。
(6)
If we judge from the look of the sky, it's going to rain.
参照
分詞と分詞構文(基礎からの英語学習Day69)
独立分詞構文について(英文法の発展的学習25)
分詞構文と完了形(英語学習の豆知識)
参考文献
Quirk et al. (1985) A Comprehensive Grammar of the English Language, Longman.
|