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H-4 否定について

d. 全体否定と部分否定について

 

   否定文には、全体否定(total negation)と部分否定(partial negation)の区別があるが、ここではその基本的な意味について説明をしていく。

 全体否定とは「全く~ない」というように、全てを否定するところからそう呼ばれる。それにたいして部分否定とは、「必ずしも~とは限らない」というように、一部を否定するところからそう呼ばれる。
 この部分否定については、bothやall、always、every、entirely、necessarily、completely、wholeなどが用いられ、否定されるときに生じる。

(2)
a. What the dictionary says is not always correct.
(辞書に書いてあることが、常に正しいとは限りません。)

b. I don't want both of them.
(2つともはいりません。)

 上は部分否定の例である。(2a)は「辞書は正しいが全てが正しいというわけではない」ということであり、(2b)は「2つはいらないが1つはいる」ということである。

 しかし全体否定または部分否定は、特別な否定文というわけではない。部分否定はbothやallなどが否定されるときに生じるが、それはこれらの語が「全体」を表すからである。その全体性を否定することで、「全てではない」というように、部分を否定する意味が生じるだけのことである。

 次も同様である。全体否定と部分否定の2例を示す。

(3)
a. Nobody agreed with me.
(誰も私に同意しなかった。)

b. Not all agreed with me.
(みなが私に同意したわけではなかった。)

 (3)において、(3a)は「全ての人が同意しなかった」というように、全てを否定しているので全体否定である。(3b)は「全てではないが、一部が同意しなかった」というように、部分否定である。この場合も、(3b)は単にallの全体性を否定しているだけである。









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