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ここでは冠詞が持つ総称的用法について説明していく。まず次の例がある。
(1)
The lion is a dangerous animal.
上について、「そのライオンは危険な動物だ。」とすることができるかもしれないが、総称的とした場合、「ライオンは危険な動物だ。」とすることができる。それは一頭のライオンではなく、ライオンという種族全体を1つとして見ていることになる。このように定冠詞は総称的用法も持つ。次も同様である。
(2)
The whale is a mammal.
(鯨はほ乳類です。)
定冠詞は通常名詞を限定的に捉えるが、この場合、数ある種類の中からライオンや鯨を、他の種類から対照的に捉えることになる。そしてそこから、その種族全体へと見方が向けられる。
ところで、不定冠詞及び無冠詞にも総称的な用法がある。(1)と比較すると、次のようになる。
(3)
a. The lion is a dangerous animal.
b. A lion is a dangerous animal.
c. Lions are dangerous animal.
上のように総称的な名詞句としては、定冠詞+単数可算名詞(a)、不定冠詞+単数可算名詞(b)、無冠詞+複数可算名詞(c)がある。
(3a)はライオンという種族を指したが、不定冠詞の(3b)では、種族全体を指すわけではない。(3b)の場合は、一頭のライオンを捉えながらも、それが種族全体にあてはまるような言い方になる。このaについては、完全に同じというわけではないが、意味としてはanyに相当すると言われている。
そして(3c)では、「たいていのライオン」という意味を持ち、いわば統計的に多くのライオンにあてはまるということになる。これらの意味の相違については、次のように比較ができる。
(4)
a. The lion is extinct.
b. *A lion is extinct.
c. Lions are extinct.
(5)
a. The beaver is increasing in numbers.
b. *A beaver is increasing in numbers.
c. Beavers are increasing in numbers.
(4)は絶滅、(5)は数の増加を表しているが、このときそれぞれにおいて不定冠詞の例は非文とされる。(*は非文であることを意味する。)なぜならそのような意味において、1頭や1匹という考えはあてはまらないからである。したがって種族全体の定冠詞及び一般的多数の無冠詞が容認可能となる。
なお、定冠詞+複数可算名詞の場合は、総称的には捉えられず、通常は特定の名詞を指す読みとなる。
(6)
The lions are dangerous animal.
(そのライオンはみんな危険な動物だ。)
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