4.2. 疑問文
疑問文においても法助動詞の用い方には異なることがある。それは主観的な意味合いを持つ場合は、通常疑問文では用いないからである。
たとえばmustの「可能性」は主観的意味合いがあるが、そのために疑問文では普通用いられない。それは話し手の主観的判断について、相手に聞くことになるためである。
(1)
a. Must John come by nine o'clock?
(ジョンは9時までに来なければなりませんか。)
b.*Must it be Mary?
(1a)は義務を表すが、疑問文でも用いられる。しかし、(1b)のように主観的判断による場合は用いることができない。
ただし、(1b)のような例でも、相手に対して考えを確認する場合(相手の断定的推測に対する異議なども含む)や、自問をする場合は疑問文でも用いられる。
(2)
Must it be Mary? It could be John.
(メアリーに違いないよね。ジョンじゃないかな。)
以上はmustの例だが、主観的可能性の意味を同様に持つmayやmightにもこのことは言える。したがって(3a)は不自然だが、代わりに(3b)を用いることになる。
(3)
a. *May she be studying in the library?
b. Do you think she will be studying in the library?
(3a)を日本語訳にした場合、「私は彼女が図書館で勉強していると思いますか。」のように、主観的判断を聞くことになるので不自然である。(*27)
*27 |
mightは疑問文で用いられることがあるが、それでも多くはない。
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