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新ページ基礎からの英語学習




 



代名詞(その1:代名詞の基本、仮主語、強調構文)


今日からは、同じ名詞を繰り返さないためなどに使う代名詞についてふれていきます。




   人称には一人称、二人称、三人称があります。一人称は「I」と「we」のことで「自分」や「自分と相手の両方を含めた複数」、二人称は「you」のことで「自分を含まない相手」、三人称は「she」や「they」などで「自分も相手も含めない人」のことです。
 そしてこれらは主語や目的語として使われる場合に形が変わります。たとえば、I like her. の「I」は「私は」という意味の主語ですが、He gave me a book.の「me」は「私に」という意味の目的語です。
 さらに「私の」というように所有をあらわす場合は「my」に形が変わります。
 my book

 これらのことを一覧にすると次のようになります。




 このような代名詞を「人称代名詞」といいます。

 人称代名詞の普通の使い方は、前に出てきた語をあらわすことです。たとえば次の文を見てください。
 I saw Ann on the street yesterday.(昨日通りでアンを見ました。)
 Where did Ann go?(アンはどこへ行きましたか。)
 I don't know where Ann went.(アンがどこへ行ったのかわかりません。)

 英語では、上のように普通は「Ann」のような同じ人の名前を何度も繰り返しません。ですから普通は次のように2回目の「Ann」からはそれにかわる代名詞を使います。
 I saw Ann on the street yesterday.
 Where did she go?
 I don't know where she went.


 「it」は次のように文の内容もあらわすことができます。
 I hear she will transfer to the headquarters.
 (彼女は本社へ転勤のようですね。)
 Yes, I know about it. It is true.
 (ええ、知っています。それは本当です。)







   「we」、「you」、「they」は総称的に「世間一般の人達」もあらわすことができます。「we」は「自分を含めた一般の人達」、「you」は「自分と相手を含めた一般の人達」、「they」は「自分と相手を含まない一般の人達」のことです。

 We had much rain last year.(昨年は雨が多かったです。)
 You are often forgetful as you age.
 (歳を取るにつれて忘れっぽくなります。)
 They say she will move.(彼女は引っ越しをするという話です。)


 この「we」や「you」は「世間一般の人達」という意味では、あまりその差がないようにも思えますが、「you」は自分を含めないので少し突き放した感じの印象を与えるのに対して、「we」は自分も含めるので親近感のある印象を与えることができます。
 これらの「we」、「you」、「they」は日本語には訳さない場合が多いです。







   「myself」は「私自身」、「herself」は「彼女自身」という意味ですが、このように「〜自身」という意味の代名詞もあります。この代名詞は次のように所有をあらわす語や目的語として使う語に対して、単数には「self」、複数には「selves」を語尾につけます。

 I → myself(私自身)
 we → ourselves(私達自身)
 you → yourself(あなた自身)またはyourselves(あなた達自身)
 she → herself(彼女自身)
 he → himself(彼自身)
 they → themselves(彼ら自身)
 it → itself(それ自身)またはthemselves(それら自身)


 この代名詞は所有をあらわす「my」や目的語として使う「him」の語尾に「self」がつきますが、もともとは全て目的語として使う語についていました。つまり、「myself」はもともと「me self」でした。
 それが歴史的な流れから現在では「himself」と「themselves」が取り残されて、他は皆所有をあらわす語に「self」がつくようになっています。
 このような代名詞を「再帰代名詞」といいます。

 She is looking at herself in the mirror.
 (彼女は鏡で彼女自身を見ています。)
 I hurt myself.(私はけがをしました。)
 [hurt = けがをさせる(過去形と過去分詞は原形と同じ形です。)]


 talk to oneselfは「独り言をいう」という意味です。
 He was talking to himself.(彼は独り言をいっていた。)

 再帰代名詞の前に「by」をおくと「1人で」というように「alone」と同じ意味になります。
 I went to the theater by myself.(私は1人で映画を見に行きました。)
 I ate breakfast by myself.(私は1人で朝食をとりました。)


 「by」のかわりに「for」をおくと「自分の力で」という意味になります。またこれには「自分のために」という意味も含まれます。
 Look into it for yourself.(自分で調べなさい。)







   再帰代名詞は主語や目的語を強調させるためにも使われます。たとえばI saw it. 「私はそれを見た。」の「I」に「myself」を続けてI myself saw it.にすると「私自身がそれを見ました。」という意味になります。次は主語ではなくて目的語を強調した例です。

 He likes coffee itself.(彼はコーヒーそのものが好きです。)


 再帰代名詞で所有をあらわす語を強調することはできませんが、強調したい場合は再帰代名詞のかわりに「own」を使うことができます。たとえばThis is my cellular phone.「これは私の携帯電話です。」に「own」を加えるとThis is my own cellular phone.「これは私自身の携帯電話です。」という意味になります。
 (「mine」などの「所有代名詞」についてはDay8の「3」を参照。)







   It is difficult to speak English. は「英語を話すのは難しいです。」という意味の文です。これに対して次は「it」を取った文です。意味は同じままです。
 To speak English is difficult.

 この文を見てわかるように前の文の「it」があらわしていたのは後ろに続いていた「to speak English」のことです。「it」にはこのように文の体裁を整えるためや、日本語とは違い英語は必ず主語を必要とするという点から、形式的に文頭へおく使い方があります。
 It is nice to see you again.(あなたにまた会えてよかったです。)
 It gave me great pressure to take an interview for a job.
 (就職の面接試験を受けるのはたいへんな重圧でした。)


 この文の「to」以下を主語として文頭におくと、主語が長くなって形の悪い文になります。「it」はそれを避けるためにも使われます。
 また、このような「it」は日本語では普通訳しません。日本語では主語がなくても文として成立することが多く、また主語がない方が普通と思われる場合も多いです。けれども、それに対して英語では主語が必要になり、主語がなければ文として成立しないことが多いです。これは日本語と英語の間にある大きな差の1つでもあります。

 It is enjoyable for me to listen to her violin in the evening.
 (夕方に彼女のヴァイオリンを聴くのは心地よいです。)
 It is bad that a typhoon is approaching this city today.
 (今日台風がこの街に接近するとは運が悪い。)


 It is no use crying over spilt milk.は「覆水盆に返らず。」ということわざです。この「it」は「crying」以下をあらわしています。

 時間や日、距離、天気などをあらわすのにも「it」を使います。この「it」は特に何もあらわさずに、形式的におかれているだけです。

 What time is it?(何時ですか。)
 It is 8:30.(8時30分です。)

 What day is it?(何曜日ですか。)
 It is Saturday.(土曜日です。)

 How far is it to your home?
 (あなたの家までどのくらいありますか。)
 It is 20 miles.(20マイルあります。)

 It is raining.(雨が降っています。)


 最初のほうでふれた「it」は形式主語ですが、上のように時間や距離をあらわすのは非人称の「it」といいます。他に漠然としたものをあらわす環境の「it」などもありますが、ここで「it」を区別しても英語を使う上であまり意味がありませんので、まとめて「仮の主語」としてふれています。
 このように「it」には色々な使い方がありますが、特にその意味を区別する必要はありません。







   文のある部分を強調するために<It is+強調するもの+that…>の型を使うことができます。「強調するもの」には主に名詞を入れます。
 たとえばShe went to the theater.(彼女は映画を見に行きました。)の「she」を強調したい場合は次のようになります。

 It is she that went to the theater.(彼女です、映画を見に行ったのは。)


 「人」の場合は「that」を「who」に置き換えることができます。

 また、「the theater」を強調したい場合は次のようになります。
 It is the theater that she went to.(映画館です、彼女が行ったのは。)




 このような文を「強調構文」といいます。また、強調するものを「It is」の後に持ってきて、残りの文を「that」以下に分けることから「分裂文」ともいわれています。







   「It」を文頭においてから「seems」などを続ける文で、次のような例があります。
 It seems that 〜(〜らしい)
 It happens that 〜(偶然だ)
 It appears that 〜(〜らしい)


 これらの「it」は特にあらわすものはなく、意味の中心は「that」以下にあります。

 It seems that she was late for the bus.
 (彼女はバスに乗り遅れたらしい。)
 It seems that he was ill.(彼は病気だったようです。)


 「It seems that」は次のように「to be」を使ってあらわすこともできます。
 He seemed to be ill.(彼は病気のようでした。)
 He seems to be happy.(彼は幸せのようだ。)

 It happened that she was out.(偶然、彼女は外出していた。)
 It appears that they are right.(彼らは正しいようです。)


 これらの「that」以下は文頭に持ってくることができません。






今日のレッスンはこれで終わりです。
お疲れ様でした。







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