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1.代名詞のitの基本
代名詞の it の基本的な使い方は、代名詞の基本的な使い方でもありますが、前の語句や節、文の内容を受けることです。
a. My computer didn't work because it was out of order.
(私のパソコンが故障していたので、動きませんでした。)
b. Who is that person? It's Amy.
(あの人は誰ですか。エイミーですよ。)
c. Do it now or not? It depends on the situation.
(すぐやるか、やらないか。それはその場次第です。)
上の例で a のitは My computer を受けています。(My computer was out of order.)
b の it は that person を受けています。(That person is Amy.)
c の it は前の文全体を受けています。
2.形式主語のit
it については、文法的に様々な用法があります。
たとえば、形式主語という用法で、形式的に主語の位置に it が置かれる用法です。
a. It is difficult to speak English.
(英語を話すのは難しいです。)
b. It is easy for the elderly to climb this mountain.
(この山を登るのは年配者にも容易です。)
英語の文には主語が必要になりますが、その主語の位置に it が置かれます。そして真の主語はその後ろに置かれます。
a の 主語である it は、後ろに続く不定詞である to speak Englishを受けています。
b の 主語である it も、to climb this mountainを受けています。
形式主語の it の文では、真の主語を本来の主語の位置に持ってきて書き換えることができる場合があります。
上の例について書き換えると次のようになります。
a. To speak English is difficult.
b. To climb this mountain is easy for the elderly.
これらの文を見てもわかるように、先の2例の it が受けていたのは後ろに続く to speak English や to climb this mountain であることがわかります。
ところで、上の例文の中で、たとえばa.の例文では主語がto speak Englishというように、少し長めになっています。
形式的に主語としての it を用いることで、文の体裁を整えていたのが最初のa.の例文です。
it にはこのように、文の体裁を整えるための使い方もあります。
次の例文も同様です。
It is nice to see you again.
(あなたにまた会えてよかったです。)
It gave me great pressure to take an interview for a job.
(就職の面接試験を受けるのはたいへんな重圧でした。)
It is enjoyable for me to listen to her violin in the evening.
(夕方に彼女のヴァイオリンを聴くのは心地よいです。)
これらの例文は it が不定詞を受けている例文ですが、 it はthat節や名詞、動名詞も受けます。
次の例文は it が that節を受けています。
It is bad that a typhoon is approaching this city today.
(今日台風がこの街に接近するとは運が悪い。)
3.時間、距離、天気のit
日本語とは違い、英語は必ず主語を必要とすることから、主語となる語句を形式的に文頭へ置く使い方があります。
この説明だけですと、先の「2.形式主語のit」と同じことのように思えるかもしれませんが、この場合の it は、特に何も受けていません。
時間や日、距離、天気などを表す場合には、形式的な主語として it を使います。
次はその例です。
What time is it?
(何時ですか。)
It is 8:30.
(8時30分です。)
What day is it?
(何曜日ですか。)
It is Saturday.
(土曜日です。)
How far is it to your home?
(あなたの家までどのくらいありますか。)
It is 20 miles.
(20マイルあります。)
It is raining.(雨が降っています。)
上の例文のように、時間や日、距離、天気などを表す場合の形式的な主語としての it が用いられます。この it は、特に受けるものはなく形式的に用いられています。
※形式的に用いられる主語の it は、日本語には普通訳しません。
日本語では、主語がなくても不自然に感じられないことが多いです。また、主語がない方が普通と思われる場合も多いです。
しかし、英語では主語が必要になります。主語がなければ文として不自然になることが多いです。このことは日本語と英語の間にある相違の1つです。
※It is no use crying over spilt milk.は「覆水盆に返らず。」ということわざです。
この主語の it は後ろにつづく crying 以下を受けています。
※「2.形式主語のit」の例文に用いられる it は、文法的に形式主語と言いますが、「3.時間、距離、天気のit」における時間や距離、天気を表すための it は、「非人称のit」と言います。
他に、漠然としたものを表す、「環境のit」などもあります。
※非人称のitや環境のitについては次も参照してください。また次では「形式目的語のit」についても解説をしています。形式主語のitがあるように形式目的語のitもあります。
代名詞のitの種類(英語学習の豆知識)
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