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代名詞の基本的な用法は、前の語句などを受けることです。代名詞のitも同様で、前に出ている語句や節、文の内容を受けます。
代名詞のitにはこの他に、形式主語のitや非人称のit、環境のitの用法があります。
ここでは普通の代名詞としてのitの用法以外の、これらの用法について説明をしています。
1.形式主語のit
形式主語のitは、名詞や不定詞、動名詞を受けます。
この場合、後ろに続いている語句などを受けています。
a. It is wonderful to see you again.
(またあなたに会えてとてもうれしいです。)
b. It is bad that a typhoon is approaching this city today.
(今日台風がこの街に接近するとは運が悪い。)
aのitは、to不定詞以下を受けています。
bのitは、that節を受けています。
これらのitは単純にto不定詞やthat節を受けているだけではなく、文の体裁を整える役目もあります。
それは長い主語が文頭に出てしまうと、体裁が悪い文になるからです。
2.非人称のit
非人称のitは、特に受けるものがありません。
英語は基本的に主語が必要になりますが、その主語のために置かれるitです。そして時間や距離、天気といった周囲の状況等を表します。
a. It is 8:30.
(8時30分です。)
b. It is 20 miles.
(20マイルあります。)
c. It is raining.
(雨が降っています。)
3.環境のit
環境のitは、非人称のitのように特に受けるものがありませんが、話し手と聞き手の間でわかっている漠然とした状況を受けます。
a. It was quiet everywhere.
(どこも静かでした。)
b. It is all the same to me.
(私には一向に構わないです。)
c. It is your turn.
(あなたの番です。)
環境のitは、目的語や補語の位置に置かれる使い方もあります。
a. Take it easy.
(落ち着いてやりなさい。)
b. That's it.
(それです。/それが問題です。)
以上が形式主語のit、非人称のit、環境のitについてです。
この他に代名詞のitを使う構文として it seems thatがありますが、これは少し変わった構文になります。
また形式主語のitがあるように、形式目的語のitもあります。次にこれらについての説明も少し加えておきます。
4.it seems について
これは it にseemやappear、happenなどの動詞を置く用法です。
it はそれらの動詞の主語として置かれますが、この it は特に受けるものがありません。
そしてseemとappearは「~のようだ」という意味を表し、happenは「偶然~する」という意味を表します。
a. It seems that he was ill.
(彼は病気だったようです。)
b. It happened that she was out.
(偶然、彼女は外出していた。)
上の例で it が受けているものは特にありませんが、表している意味の主体はthat節にあります。
また受けているものが特にないこともあり、that節をitの代わりに文頭に持ってくることができません。これは形式主語のitと区別される点になります。
5.形式目的語のit
形式主語のitがあるように、形式目的語のitもあります。
形式目的語のitは、後ろに続くthat節や不定詞、動名詞などを受けます。
また形式目的語のitに用いられる動詞は、主にthinkやmake、consider、findなどです。
a. I thought it best to say nothing about that.
(私はそのことについて何も話さないことが良いと思いました。)
b. Do you find it difficult to make up your mind?
(あなたは自分の決心をつけるのが難しいですか。)
上の例ではitは形式目的語としてthinkやfindの目的語となっています。
そのitが表しているのは、この場合to不定詞以下の文になります。
※代名詞「it」の基本的用法の解説は次を参照してください。
it代名詞(色々な主語のit)(英文法の解説)
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