3.3. 過去完了形の基本的な用法 3.3.1. 過去完了形の時間表示
過去完了形は現在完了形と同様に文法形式で表す相である。(*16) その文法形式は、現在完了形のhave+過去分詞を、過去の形式にしたhad+過去分詞である。したがって現在完了形の意味を、そのまま過去のこととして表す用法ということができるが、他にも基準とされたある過去よりもさらに以前の過去を示す用法もある。いわば、過去の過去を表す用法である。過去完了形について時間表示に示すと次のようになる。
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英語の相(aspect)は、序章のところで述べているように、時制と相の双方の要素を含んでいる。
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(37)
発話時(S)のある現在時から、心の位置(M)と出来事時(E)が離れて過去の時間帯に移動することは過去時制の時間表示と同じであるが、心の位置(M)が、発話時(S)と出来事時(E)の間に置かれる。
しかし心の位置(M)は、それらの間に置かれるためにのみ移動するわけではない。心の位置(M)とは、発話時(S)との関係においてその位置が決められるからである。そして出来事時(E)については、今度は心の位置(M)との関係においてその位置が決められる。このことについては次節でも述べていく。(*17)
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過去完了形については、実は上のように1種類の時間表示だけでは表すことができない。それはこの形式がそれほど単純ではないためであるが、ここではそのことについてふれないでおく。一般的な過去完了形の理解においては、そこまでふれる必要はない。また、同様のことは未来完了形にも言える。
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