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「もしも〜なら、〜だろう」、「もしも〜だったら、〜だったろう」(仮定法@)


今回のDay48からは仮定法についてふれていきます。
仮定法といえば仮定法過去と仮定法過去完了がよく知られています。

「現在の事実と反対のこと」をあらわすのが仮定法過去で、「過去の事実と反対のこと」をあらわすのが仮定法過去完了であるとはこれらの仮定法を説明するのによく使われる言葉です。

けれども、これだけの説明ではよく理解しにくいものだと思います。
このDay48では仮定法過去と仮定法過去完了を中心に、できるだけ理解しやすいようにふれていきます。





  まずは次の例文を見てください。


If I had much money, I could buy it.
(もしも私がもっとお金を持っていたら、それを買うことができるでしょう)

この文を話し手が言ったのは、意味からわかるように現在の時点です。
状況としては、話し手がどこかの店にはいったときに買いたい物を見つけてもお金がたりないという場合です。
そして、話し手はその自分がほしい物を見ながら上のような文を言うわけです。

このように上の文は、話しているときは現在の時点で、その同じ現在の時点で「〜なら、〜なのに」というような仮定をあらわします。
そしてその仮定は、「もしも〜なら」という意味からわかるように実際に起こっている現在のこととは違ったことをあらわします。

このような文のことを仮定法の文といいますが、特に「現在の時点で、実際に起こっていることとは違ったこと」をあらわすのを仮定法過去といいます。

仮定法過去というように「仮定法」の後に「過去」という文字がついていますが、決して過去のことをあらわしているわけではありません。
あらわしているのは現在のことです。



ところで、仮定法過去の文の形は次のようになります。

<If+主語+過去形, 主語+助動詞の過去形+動詞の原形>

ちょっと難しいように見えるかもしれませんが、数式のように単語をあてはめていくだけで文を作ることができますのであまり難しく考えないでください。
ここまでのことをまとめてみます。









それでは仮定法過去について、時間的な意味も下に書いてみます。









もう1つ例文を書いてみます。


If she worked harder, she would succeed.
(もしも彼女が一生懸命働くなら、成功するだろうに)

これももちろん現在の時点で話しています。
その現在の時点で、実際とは違ったことを仮定して話したことが上の文になるわけですが、だとしたら実際はどのような状況になっているでしょうか。

たとえば、「彼女は全然働こうとしていないから、全く成功なんてしていない」という現在の状況が考えられます。
そのことについて話し手が上の文のような仮定を話したわけです。


助動詞の過去形には could や would, might, should などが使われます。




ありそうもない仮定


仮定法過去では、その同じ文で「ありそうもない仮定」の意味をあらわす場合があります。
次の例文を見てください。


If you tried again, you might pass.
(もしもあなたがもう一度試みたら、合格するかもしれない)


文の形は同じです。
それで「ありそうもない仮定」の意味をあらわすこともできます。








  現在の時点において、実際に起こったこととは違うことをあらわすのが仮定法過去でした。
それに対して、現在の時点において、過去に起こったこととは違うことをあらわすのを仮定法過去完了といいます。
仮定法過去完了というと難しそうに思えるかもしれませんが、仮定法過去と同じように数式みたく言葉をあてはめていくと簡単に文を作ることができます。

仮定法過去の文の形は、
<If+主語+過去完了, 主語+助動詞の過去形+have+過去分詞>になります。

過去完了とは、<had+過去分詞>のことです。
助動詞の過去形には could, would, might, should などが使われます。

それでは例文を書いてみます。


If I had left home early, I would have been on time.
(もしも私が早くに家を出ていたら、時間に間に合っていただろう)


この文は、現在の時点で過去に対しての実際に起こったこととは違ったことをあらわします。
話した時点は現在ですが、話した内容は過去のことです。
つまり意味的には「あのとき〜をやっていたら、〜だったろう」というような過去に対しての仮定または想像をあらわします。
ここでまとめてみます。









仮定法過去完了の時間的な意味についても下に書いてみます。









仮定法過去完了の例文をもう1つ書いてみます。


If I had had enough money, I could have bought the picture.
(もしも十分なお金を持っていたら、絵を買えただろう)

これも現在の時点で話したことになりますが、考えたことに対する時間はある過去の時点です。
つまり、今現在において上の文を話しますが考えていることは過去の時点に対する仮定です。

考える仮定は過去の時点に実際起こったこととは違うことです。
上の文では「十分なお金を持っていたら、絵を買えた」ということですから、実際にその過去の時点で起こっていたことは「お金がたりなくて絵を買えなかった」ということです。




★<仮定法過去と仮定法過去完了の文のつくりの比較>

ここで、仮定法過去の文の作りと、仮定法過去完了の文の作りについてもう一度復習してみます。
下に2つの文の形について比較してみます。












  仮定法過去と仮定法過去完了は両方とも if と帰結の2つの文で作られています。
そして、それぞれは上で書いているとおりの約束事で言葉をあてはめていくと文を作ることができました。

しかし文によっては、仮定法過去完了の if の文に仮定法過去の帰結の文がおかれる場合があります。

ではその場合の文の意味はどのようになるでしょうか。
次にその例文を書いてみます。


If I had eaten that cake, I would have a stomachache.
(もしも私があのケーキを食べていたら、今頃は腹痛をおこしていただろう)
[stomach = 胃、おなか]
[stomachache = 腹痛]



If I had eaten that cake は、仮定法過去完了で使われる if の文です。
(仮定法過去完了のif文→<If+主語+過去完了>)
けれども、次の文である I would have a stomachache は仮定法過去の帰結の文です。
(仮定法過去の帰結の文→<主語+助動詞の過去+動詞の原形>)

このように、この文は仮定法過去完了と仮定法過去の文でできています。

また、If I had eaten that cake は仮定法過去完了ということでその時間的な意味は過去の時点です。
そして I would have a stomachache は仮定法過去ということで現在の時点のことになります。

つまり意味は、「あのとき(過去)、あのケーキを食べていたら、今頃は(現在)腹痛をおこしていただろう」となります。

また逆に言うと(実際におきていること)、「あのとき(過去)、あのケーキを食べなかったので、今は(現在)腹痛をおこさずにいる」となります。











仮定法現在


仮定法過去と仮定法過去完了に対して、仮定法現在というのもあります。
仮定法現在は、動詞に原形を使って現在、未来の仮定をあらわします。

けれども、今では古い使い方でほとんど使われることはありません。
今では仮定法現在の代わりに、ifを使った条件文が使われます。

if を使った条件文については、Day21を参照してみてください。


仮定法現在で be動詞の原形「be」が慣用的に使われることは時々あります。








  If it were not for 〜 は「もしも〜がなければ」という意味です。
そして、現在の時点において起こったこととは違うことをあらわします。

ちょうど、仮定法過去の意味です。
if 文の中も仮定法過去で学習した文の作りになっていますし、この後に続く文も仮定法過去のときと同じです。
つまり、この後には<主語+助動詞の過去形+動詞の原形>がおかれます。


また If it had not been for 〜 というのもあります。
意味は「もしも〜がなかったら」という意味です。
過去の時点において起こったこととは違うことをあらわしますが、ちょうど仮定法過去完了と同じ意味になります。

if の文も仮定法過去で学習した作りですし、もちろんこれに続く文も仮定法過去完了のときと同じで<主語+助動詞の過去形+have+過去分詞>になります。

それではそれぞれの例文を書いてみます。



<If it were not for 〜>

If it were not for the snow, the plane could take off.
(もしも雪でなければ、飛行機は離陸していただろう)

時間帯は現在のことです。
現在に起こった実際のこととは違う仮定です。
ちょうど仮定法過去と同じになります。



<If it had not been for 〜>

If it had not been for the snow, the plane could have taken off.
(もしも雪でなかったら、飛行機は離陸していただろうに)

時間帯は現在ですが、考えている内容は過去のことです。
過去に起こった実際のこととは違う仮定です。
ちょうど仮定法過去完了と同じになります。


文の作りはそれぞれ前に学習した、仮定法過去と仮定法過去完了と同じであることはわかると思います。
ただ、「もしも〜がなければ」をあらわす If it were not for のような構文が使われるだけです。












But for と Without


<If it were not for 〜>と<If it had not been for 〜>はそれぞれ But for または Without を使って代わりにあらわすことができます。

たとえば上の仮定法過去を使う文、
If it were not for the snow, the plane could take off.
を、But for と Without を使って書き換えてみると次のようになります。


But for the snow, the plane could take off.

Without the snow, the plane could take off.


But for と Without 以下の文はそれぞれ同じになります。


ところで、上の2つの文は仮定法過去の文を書き換えたわけですが仮定法過去完了の文を書き換えた場合でも全く同じ文になります。
それは、But for または Without を使った場合、動詞の時制については関係がなくなるからです。
















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