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関係代名詞の who や whom は人に対して使われ、which は物や事に対して使われます。
それに対して「that」は人に対しても使われますし、物や事に対しても使われます。
そうすると、何にでも使えそうな気がしますが that には whose のような所有をあらわす形がありません。
that は 所有以外の主語と目的語の代わりをします。
主語と目的語をあらわす that の形は同じ「that」で、形の変化はありません。
また、who や whom または which の代わりに that が使われるのは口語においてよく行われます。
けれども、どんな場合でも that を使うことができるわけではありません。
that が使えない場合もありますし、またその逆に that が主に使われる場合もあります。
★<主語としての that>
まずは次の例文を見てください。
She is the woman that teaches English at university.
(彼女は大学で英語を教えている女性です)
この文の先行詞(修飾される語)は the woman です。
その先行詞を that 以下の文が修飾していますが、修飾している関係代名詞の文の中で that は主語の代わりをしています。
もとの文は次の2つです。
1.She is the woman.
(彼女は女性です)
2.She teaches English at university.
(彼女は大学で英語を教えています)
「2」の文の She は「1」の文の the woman のことです。
今まで学習したとおりにこの2つの文を1つにする場合は、「2」の文の主語である She を who に代えて「1」の文の the woman を修飾させます。
ですが特に口語では、その who の代わりに that を使って She と置き換える場合があります。
★<目的語としての that>
that は目的語としての関係代名詞としても使われます。
whom や which の代わりに使われますが、やはり特に口語では that が使われる場合があります。
次の例文を見てください。
The car that I bought last year was inexpensive.
(私が去年買ったその車は高くはなかったです)
先行詞は The car です。
この文の that は関係代名詞の文の中の目的語をあらわしています。
もとの文は次の2つです。
1.The car was inexpensive.
(その車は高くはなかった)
2.I bought it last year.
(私はそれを去年買いました)
「2」の文の目的語「it」は「1」の文の先行詞 The car をあらわしています。
「2」の文の it は which に置き換えることができますが、that にも置き換えることができます。
★<that が主に使われる場合>
that のほうを who や which よりも主に使う場合があります。
それは次のような場合です。
1<先行詞が最上級の場合>
先行詞に最上級が使われている場合は that のほうがよく使われます。
例文を書いてみます。
That is the most interesting movie that I have ever seen.
(あの映画は私が今までに見た中で一番おもしろいです)
この文の先行詞は the most interesting movie で最上級です。
2<先行詞に the only などが使われている場合>
先行詞に the only, the first, the same などが使われている場合は that のほうがよく使われます。
例文を書いてみます。
This is the only book that I can't understand.
(これは私が理解できない唯一の本です)
この文の先行詞は the only book です。
3<先行詞が all などの場合>
先行詞が all, anything, everything, something, nothing などの場合は that のほうがよく使われます。
例文を書いてみます。
Is there anything that we can do ?
(私たちのできることが何かありませんか)
この文の先行詞は anything です。
<that で置き換えられない場合>
who や whom, which を that で置き換えられない場合があります。
それは関係代名詞が前置詞の目的語になっているときです。
前置詞の目的語になっている関係代名詞については前回のDay51でふれていますが、そのときの例文を次に書いてみます。
(Day51のマークで which が前置詞の目的語になっている場合についてふれていますので、参照してみてください。
けれどもマークでふれていることなので、関係代名詞についてある程度慣れてから参照してみてください。)
The map for which you are looking is on the table.
(あなたが探している地図はそのテーブルの上にありますよ)
この文の which は for の目的語になっています。
詳しいことはDay51でふれていますが、この文のもとの文は次の2つです。
1.The map is on the table.
(地図はテーブルの上にあります)
2.You are looking for it.
(あなたがそれを探している)
「2」の文の it は for の目的語になっていますが、この it は「1」の文の先行詞 The map をあらわしています。
そして、「2」の文の it を which に置き換えて、その前置詞 for と一緒に関係代名詞の文の文頭にもってきます。
そうしてできた文が最初の例文です。
この場合のように前置詞の目的語となっている関係代名詞は that で置き換えることができません。
ただし、前置詞を関係代名詞の後ろにもっていった場合(特に口語で)は、残った関係代名詞を that で置き換えることができます。
けれどもこの場合の that はよく省略されます。
ここまでのことを下にまとめてみます。
また、非制限用法で使われている関係代名詞についても that で置き換えることができません。
(非制限用法についてはDay50とDay51でふれていますが、どちらもマークとしてふれています。)
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