5.2.3. 一時性Ⅰ(動作)
まず、次の例を見てみることにする。これらは前節で扱った例について現在形で表している。
(11)
a. My husband complains about the food.
(私の夫は食べ物のことで文句を言う。)
b. He says bad things about others.
(彼は他人の悪口を言う。)
上の2例はいずれも現在の習慣を表しているが、この習慣とは現在を含めて未来までも継続されることが当然期待されることである。
しかし、これらに進行形を用いると次のようになる。
(12)
a. My husband is complaining about the food.
(私の夫は食べ物のことで文句を言っている。)
b. He is saying bad things about others.
(彼は他人の悪口を言っている。)
さて、上の例では先の例のように未来まで継続するような感覚を感じられるだろうか。
実際それはないであろう。上の例では習慣の意味は含まれず、単にその時点の動作を表しているにすぎない。これは動作そのものに話し手が着目した結果であるということができるのだが、このように進行形は「一時的な動作」の意味も表すことになる。
次の例も同様である。
(13)
a. She goes to work on her bicycle.
(彼女は自転車で仕事に行く。)
b. She is going to work on her bicycle.
(彼女は自転車で仕事に行っています。)
上の例で意味の違いを感じることができるだろうか。
(13a)では日常自転車で通勤することを表している。しかし、(13b)は自転車が一時的な通勤手段であることを表していることになる。
つまり、(13b)を用いる場合、彼女は通常車やバスを利用していることが考えられるのだが、車の故障またはバスのストライキなどの理由により、一時的に自転車を利用していることの意味が含まれるのである。
これは、進行形が動作そのものに着目していることから生じている。
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