1.2.3. 現在時制の未来表現用法
現在時制を用いて、未来に生じる出来事も表すことができる。未来表現の用法であるが、このとき未来を示す副詞を続けることも多い。それはそのような副詞がない場合は、形式上単に現在時制の主な4用法として捉えられることにもなるからである。そしてこの現在時制の未来表現は、確実に生じるとされる確定的な未来を意味することになる。これには次の例がある。
(25)
a. Tomorrow is Saturday.
(明日は土曜日です)
b. The train leaves at 7:30 this evening.
(列車は今夜7時30分に発車します)
c. We start for Istanbul to-night.
(私達は今夜イスタンブールへ出発します。)
(以上3例はLeech:1971a)
3例に共通している意味は、その未来の出来事が確実に生じるということである。これはwillやshallを用いた未来表現とは、対照的な意味を含んでいる。
確実に生じる出来事とは、たとえば(25a)は暦のことであるが、これは当然変更をすることができない確定的なことである。また(25b)は列車が今夜7時30分に発車するという予定のことだが、これについてもすでに決定されていることである。(25c)についても変更不可能なことを意味し、言い換えるならばすでに決められている「計画」である。
このように現在時制の未来表現とは、確定的な未来になるが、そこから現在においての「事実」としても考えることができる。ここで現在時制の未来表現について示すと次のようになる。
(26)
発話時(S)は当然現在時であるが、確定的な未来の出来事としての出来事時(E)は未来時に置かれる。そして心の位置(M)は現在時にあり発話時(S)と重なる。このことは話し手の心境が、現在から離れないことを表している。
心の位置(M)は時を表す副詞に応じて移動する点であると前に述べたが、この場合はたとえtomorrowのような未来を表す副詞が続いたとしても、未来時へ移動はせずに現在時に置かれる。なぜなら、現在の事実として捉えているからである。(未来表現においての心の位置(M)の位置関係は、第4章 で述べていく。)
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