4.2.3. be going to+不定詞の未来表現
be going toの未来表現も、現在においてすでに取り決められている未来の出来事を表す。よく用いられる形式である。そして、その意味から未来に生じる出来事の「計画や原因」となることが、現在に存在していることを含んでいる。現在進行形の未来表現と類似しているが、そのために双方は書き換えることもできる場合がある。しかし、be going toの未来表現は、話し手の意志が含まれやすい。
(10)
a. She's going to have a baby in July.
(彼女は7月に子供を生みます。)
b. I think I'm going to be sick.
(私は吐きそうな気がします。)
c. We are going to have a shower soon.
(すぐに雨になりそうだ。)
上の3例は、現在において未来の出来事の原因となることが存在している。
(10a)では、すでに彼女が妊娠をしていることを意味として含んでいる。(10b)では、吐き気のする何らかの兆候が生じていることを意味している。そして(10c)では、すぐに雨になるということを、話し手が空の状況を見ながら発話している。次は(10c)に類似した例である。
(11)
a. It is going to rain tomorrow.
(明日は雨が降りそうです。)
b.*It is raining tomorrow.
(11a)はbe going to、(11b)は現在進行形を用いた例であるが、この場合(11b)は不自然となる。be going toは現在にある原因から考えられる兆候も表す。そこで、天気のような事物が主語の場合は、それに関する兆候を表すことになる。(11a)は天気予報を聞いた場合や、現在の空の状況を見た場合に明日の天気を判断していることになる。
(11b)の場合、形式から「取り決め」の意味が現れ不自然となる。それは、天気とは取り決めで決定されることではないからである。そこで、(11b)は次のようにすると用いることが可能である。
(12)
It is raining today.
(今日は雨が降っています。)
上は未来表現ではなく、単なる「動作の進行」として表している。そのために時を表す副詞については、未来を示すtomorrowから現在を示すtodayに変えてある。
be going toの未来表現を時間表示に示すと次のようになる。
(13)
出来事時(E)は未来に生じることなので未来時に置かれるが、その出来事の原因や計画となることは現在に存在するため、心の位置(M)は現在時に置かれる。現在進行形の未来表現と同様だが、時を表す副詞についてもbe going toの未来表現では必然的ではなく、「選択的」に共起する。したがって、未来を示す副詞が続いていない場合でも、不自然さは感じられない。また、未来を示す副詞が続いていない場合は、近い未来を言外に自然に含むことにもなる。(*22)
*22 |
be going toには遠い未来を示す副詞を続けることは可能である。
My daughter is going to become a teacher when she grows up.
(私の娘は大きくなったら教師になるつもりです。)
when節で表しているように、遠い未来を示す副詞が続いている。この場合、その遠い未来ゆえに話し手の焦点はある程度未来へも向かっていると考えられる。しかし、たとえそうであったとしても、現在において話し手の焦点が強く残っていることには変わりはない。
話し手は子供の親と考えられるが、この話し手は娘が教師になりたいという意図を、現在において知っていなければ発話することができないからである。つまり、子供の意図である原因や計画に相当することが、現在に存在しない限り用いることができないのである。
I'm going to become a teacher when I grow up.
(僕は大きくなったら、教師になるつもりです。)
上の例は前の例をもとに主語を話し手と一致させた例である。この場合も、遠い未来を示す副詞が続いているにも関わらず、現在において話し手が教師になりたいという意図が存在し、そこに焦点が強く置かれている。
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ところで、be going toの未来表現では、主語と話し手が一致した場合に話し手の意志が現れやすい。次はそのように話し手の意図が現れているが、そのために不自然となっている例である。
(14)
a. I'll be eighteen next spring.
(来年の春には18歳になります。)
b.*I'm going to be eighteen next year. (以上2例は安井:1982)
be going toを用いた(14b)が不自然となるのは、年をとることが話し手の意志とは無関係だからである。この場合は単純な未来を表すwill/shallの(14a)を用いることが普通である。この形式については、次節の遠い未来の未来表現の中で述べていく。
次の例では、現在進行形の未来表現と比較をしている。
(15)
a. I'm bringing the apple pie to my aunt.
b. I'm going to bring the apple pie to my aunt.
(15a)は現在進行形の意味から、アップルパイを持っていく準備をしているところが考えられる。しかし(15b)の例では、単にアップルパイを持っていくという話し手の意志計画を表していることになる。
ここからはbe going toの過去時制について述べる。
これは、出来事が生じなかったことを表すことになる。次はその例である。
(16)
a. I was going to call on you.
(私はあなたを訪ねるつもりでした。)
b. Something was going to happen.
(何かが起こりそうだった。)
上の2例は過去に出来事の原因や計画となることがあったのだが、実際に生じなかったことを表している。そこでこれらには、次のように文をつけ加えることができる。
(17)
a. I was going to call on you, but I couldn't.
(私はあなたを訪ねるつもりでしたが、できませんでした。)
b. Something was going to happen, but nothing happened.
(何かが起こりそうだったが、何も起こらなかった。)
時間表示に示すと、次のようになる。
(18)
(*23)
*23 |
この時間表示の他に過去からみた未来という意味で、出来事時(E)が心の位置(M)から離れた時間表示も考えられる。たとえば次のように示される。
出来事時(E)は過去の時間帯から未来の時間帯へ置かれることはないが、心の位置(M)と発話時(S)との間のどこかに置かれることになる。
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上は過去時制の時間表示と同じである。しかし、意味上は多少異なる。なぜなら、過去時制とは出来事についてすでに完結していることだからである。しかし、was/were going toについては、出来事時(E)は非現実の時点を表していることになる。
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