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英語の時間的感覚Ⅱ

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will/shall+不定詞の未来表現-英語の時間的感覚Ⅱ

 

4.3. 遠い未来の未来表現
4.3.1. will/shall+不定詞の未来表現

 willまたはshallを用いた未来表現は、近い未来の未来表現とは対照的である。それは未来に生じる出来事の原因または計画となることが、普通は現在に存在していないからである。このことは現在との関係において、未来との結びつきが弱いということになる。言い換えると、willまたはshallを用いた未来表現とは、話し手がその場で考えた未来の出来事ということになる。(*24)

*24  willとshallでは、今はwillのほうが用いられる傾向にある。少し前まではshallもよく用いられていた。特に一人称に対してはshallが用いられ、二人称と三人称ではwillが用いられる傾向にあった。
 このような用い方の区別がされていたのは、一人称にwillが用いられると意志の意味が強く表れ、二人称と三人称にshallを用いると義務や予言の意味が強く表れる傾向があるからである。
 このことはwillとshallが発展してきた歴史的な流れの中での名残ではあるのだが、これらの使い分けはアメリカ英語よりもイギリス英語にその傾向があるという。

 しかし、現在では人称に関わらずwillが用いられる傾向にある。(実際、使い分けのあるイギリス英語においてもそのような傾向は進んでいる。)
 また、短縮形のI'llはI willとI shallの双方で考えられるが、「'll」はwillの短縮形と考えるほうが一般的である。

 (19)
  a. You will feel better after this medicine.
   (この薬を飲んだら気分がよくなりますよ。)
  b. Tomorrow's weather will be cold and cloudy.
   (明日の天気は寒くて曇りでしょう。)
  c. Perhaps they will come.
   (彼らはひょっとすると来るだろう。)

 上の3例において、共通していることは現在と未来の出来事の関係が弱いことである。出来事に関しての原因や計画を、現在において感じることはあまりない。(19a)では薬を飲むことによって体調が良くなることを表しているが、そのことは発話の際において話し手の判断や期待から発せられることである。
 また、(19b)は天気のことを表しているが、この例も同様に発話の際においての話し手の判断ということができ、他にその天気に関する原因となるべきことはあまり感じられない。この天気の例についてはbe going toの未来表現でも扱ったが、ここで比較をしてみることにする。

 (20)
  a. The weather will hold clear tomorrow.
   (天気は明日も引き続き晴れるでしょう。)
  b. The weather is going to hold clear tomorrow.
   (天気は明日も引き続き晴れます。)

 (20b)は話し手が空の状況を見て判断したことや、天気予報を聞いて判断していることと考えられる。それに対して(20a)は、単なる話し手の予測ということができる。

 (21)
  a. It will be a big storm tomorrow.
   (明日はすごい嵐がくるでしょう。)
  b. It is going to be a big storm.
   (すごい嵐が来そうだ。)

 上の例も天気に関する例である。be going toを用いた(21b)では差し迫った状況を感じることができるのに対して、willを用いた(21a)ではそのようなことを感じることができない。

 また、次もwillとbe going toを比較した例である。

 (22)
  a. She is going to have a baby in July.
   (彼女は7月に子供を生みます。)
  b. She will have a baby in July.
   (彼女は7月に子供を生むでしょう。)

 (22a)はbe going toを用いた例だが、表しているのは彼女がすでに妊娠していて、7月には子供を生む予定になっていることである。それに対して(22b)はwillを用いているが、この例は話し手の推測から発話していることであり、「予言的」なことになる。


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 ところで、(19c)のPerhaps they will come. では、perhapsがその確信度を低くしている。perhapsやmaybeのように確信度が低く、出来事が生じるかどうかを不確定にする副詞は、willまたはshallが持つ「予測性」に合致し共起が可能である。しかし、次の場合は不自然とされる。

 (23)
  a.*Perhaps we are arriving at Haneda Airport.
  b.*Maybe we are leaving for Italy tomorrow.

 上の2例は現在進行形の未来表現を用いているが、いずれも不自然とされる。なぜなら、現在進行形を用いた場合は事前に取り決められた出来事を表すことになるために、予測性を表す副詞を続けることができないからである。

 ここで、will/shallの未来表現について時間表示に示すと次のようになる。

(24)
英語の未来表現(will/shall)の時間表示 英語の未来表現(will/shall)の時間表示

 出来事時(E)は未来時のことなので、未来時に置かれる。このことは近い未来の未来表現形式と同じであるが、遠い未来を表すwill/shallの未来表現では、心の位置(M)も現在時から離れて未来時へ置かれる。なぜなら、現在には出来事に関する原因や計画が存在しないので、話し手の焦点が現在に置かれることがないからである。それは現在とのつながりが弱くなることをも表している。


 ところで、上の時間表示にあるように心の位置(M)が未来時へ向かうのは、話し手が発話の際にある程度特定の未来を、念頭に置いているからでもある。したがって、willまたはshallを用いた場合は、未来を示す副詞が続くことも多い。

 (25)
  a.*It will rain.
  b. It will rain tomorrow.
   (明日は雨でしょう。)

 上の2例はどちらもwillを用いているが、(25a)はこれだけでは不自然に感じられる例である。なぜなら、確かに雨が降るであろうことを表していても、その雨がいつ降るのかは不明だからである。
 (25b)のようにtomorrowを続けた例では自然に感じられることになるのだが、will/shallの未来表現とは、このように時を表す副詞がない場合に不自然と感じられることも多いのである。


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