4.4.2.will/shall+進行形の丁寧表現
will/shall+進行形による自然の成り行きの用法は前節で述べた通りであるが、この用法は話し手の意志とは関係なく生じる出来事について表す用法である。そこで、will/shallから生じる意志の意味を弱める効果もあることになる。たとえば次の例がある。
(34)
a. I'll go out soon.
(私はまもなく出かけます。)
b. I'll wait for you at the bus stop tomorrow.
(私は明日、バス停であなたを待ちます。)
上の2例はwillを用いた未来表現であるが、話し手の意志が含まれている。
(34a)はこれから出かけることを相手に伝えている。(34b)はバス停で待つということを話し手の意志として伝えている。この2例に進行形を用いると、次のようになる。
(35)
a. I'll be going out soon.
(まもなく出かけることになっています。)
b. I'll be waiting for you at the bus stop tomorrow.
(私は明日、バス停であなたを待っています。)
上は進行形を用いたために意志の意味が弱められている。したがって(35a)は話し手の意志とは関係なく、何らかの理由により、そうせざるおえないことを表していることになる。
また、(35b)ではバス停で待つことを、当然にしなければならない状況においての例であるということができる。
このように、進行形を用いると意志の意味が生じないことになる。
ところで、このことを利用して会話においての丁寧表現も可能になる。たとえば次のような会話例がある。
(36)
A: Can I talk to you for a minute?
(少し時間がありますか。)
B: I'll go out soon.
(まもなく出かけます。)
上の例では、話をするために声をかけられたことに対して、I'll go out soon.と答えているが、話し手の意志が表れているので、相手に対してある程度強い調子で断ることになる。しかし、次の例のように進行形を用いた場合はその意志的な意味を消すことが可能になる。
(37)
A: Can I talk to you for a minute?
(少し時間がありますか。)
B: I'll be going out soon.
(まもなく出かけることになっています。)
上の例では自身の意志とは関係のない理由から出かけなければならないことを表している。これにより、たとえば何らかの約束があるために仕方なく出かけなければならず、そのために話をする時間が持てないという意味で、丁寧に断ることが可能になる。
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