4.2.近い未来の未来表現
「近い未来」とは、話し手の心境と現在との関係が強いことである。つまりは未来の出来事についての「原因や計画」が、現在に存在しているということである。この近い未来の未来表現には、3つの形式が相当することになる。次にこれらを分けて述べていく。
4.2.1.現在時制の未来表現
現在時制とは、ある出来事を現在の事実として、話し手が捉えることである。その現在時制を用いて未来の出来事を表すことも可能である。この現在時制の未来表現については1.2.3. ですでに述べているが、この時間表示は次のように示される。
(4)
これに対して、現在時制の時間表示は次のようであった。
(5)
現在時にある出来事時(E)が未来時へ移動したのが、(4)で示される時間表示である。
(6)
a. The train leaves from Tokyo at 5:30 tomorrow.
(列車は明日5時30分に東京を発車します。)
b. We leave here for the meeting next Monday.
(私たちは次の月曜日に会議のためにたちます。)
上の2例にみられるように現在時制の未来表現とは、未来表現というよりは現在においての事実として話し手が捉えているため、現在時制の意味により近い性質を持っている。
ところで、前の2例についてはat 5:30 tomorrowやnext Mondayのように未来を示す副詞が続いている。このような時を表す副詞は時間表示上では心の位置(M)に相当するのだが、現在時制の未来表現は心の位置(M)が現在時に置かれたままで時間表示が示される。未来を示す副詞がない場合に単なる現在時制の用法として捉えられることもあるので、そのような副詞が続くことも多いのだが、いずれにしても話し手が現在の事実として捉えていることに変わりはない。したがって、話し手の焦点は未来を示す副詞に関係なく現在に強い焦点を置いていることになる。
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